「サブマコの前途を祝福する会 有志を求む 発起人:戦術科 古代進」
「ウエディングパーティーだとぉ?」
加藤はジムの一角で筋トレに励んでいた。
隣のプレスベンチでは、古代がかれこれ20分ほど汗を流している。
イスカンダルからの帰路はトラブルも少なく、戦術科のクルーたちはこうやって
体を鍛えることで、余った時間と体力を費やしている。
加藤は、シャフトから一枚、二枚とプレートを外してラックに片付ける。そして隣の古代に視線を移した。
古代も手を止め、汗を拭いながら加藤に向き合った。
「ああ。聞けば原田くん、おめでただって言うじゃないか。」
「あ、それは、その。その通りなんだが」
加藤の声は途端にか細くなった。
「そこでだ。女の子ってドレスを着たがるものなんだろ?早いに越したことないと思うが」
「いや、だめだよ」
そこで加藤は、興味津々な隊員たちの視線から逃れようと、古代と連れ立って
ロッカールームに移動する。狭いロッカールームには丁度誰もいない。
「ほれっ」
加藤は手にしたスポーツ飲料を、古代に投げて寄越した。
二人は壁にもたれて、キャップを捻った。古代はひとくち口に含み、ふうっと息を吐く。
「なんでダメなんだ? いいじゃないか。艦長も許可されているし」
「だからって……。おまえは」
古代は穏やかに笑う。
「戦術科いや、ヤマトあげて応援、祝福する。心配するな」
加藤は、心配なのはおまえの方だと言いかけて、頭を切り替えた。
「違うんだ。順序とか、手続きとか、こうでなきゃってのが本当はあるだろう?気持ちは嬉しいが
俺も、真琴も地球に帰ってからでも……」
「遠慮するな。めでたい事なんだから皆に祝わせろよ。俺たち、ヤマトの乗組員皆家族みたいなもんなんだから」
唇を一文字に結んでいた加藤も、古代の心情を思いやると、それ以上断る言い訳がみつからなかった。
ペットボトルについた水滴が床に滴り落ちた。
「いいのか?」と一言だけ。
「もちろん!あとは全部こっちに任せろ。船務科、主計科あたりに手伝ってもらうから。あ、航空隊にももちろんな」
スポーツ飲料を全部飲み干して、じゃあなと古代は去っていった。
その背中を見て、船務長の見舞いにいくのかもしれないな、と加藤は思った。
****
(きっといいパーティーになるだろう)
知らず知らずのうちに微笑んでいる自分に、古代は安堵していた。
――彼女なら、きっと率先して二人を祝うだろう。
女性ならではの細やかな気配りなんて、自分には出来そうもないけれど、
彼女ならきっとこうしただろうと想像すると、自然と体が動いた。
他人の幸せに触れることで、気持ちに張りが出来た。
大丈夫だ。いつもの自分を保っていられる。
ポケットの上から、ハーモニカの感触を確かめるだけにして、彼は自動航法室に背を向けた。
「ウエディングパーティーだとぉ?」
加藤はジムの一角で筋トレに励んでいた。
隣のプレスベンチでは、古代がかれこれ20分ほど汗を流している。
イスカンダルからの帰路はトラブルも少なく、戦術科のクルーたちはこうやって
体を鍛えることで、余った時間と体力を費やしている。
加藤は、シャフトから一枚、二枚とプレートを外してラックに片付ける。そして隣の古代に視線を移した。
古代も手を止め、汗を拭いながら加藤に向き合った。
「ああ。聞けば原田くん、おめでただって言うじゃないか。」
「あ、それは、その。その通りなんだが」
加藤の声は途端にか細くなった。
「そこでだ。女の子ってドレスを着たがるものなんだろ?早いに越したことないと思うが」
「いや、だめだよ」
そこで加藤は、興味津々な隊員たちの視線から逃れようと、古代と連れ立って
ロッカールームに移動する。狭いロッカールームには丁度誰もいない。
「ほれっ」
加藤は手にしたスポーツ飲料を、古代に投げて寄越した。
二人は壁にもたれて、キャップを捻った。古代はひとくち口に含み、ふうっと息を吐く。
「なんでダメなんだ? いいじゃないか。艦長も許可されているし」
「だからって……。おまえは」
古代は穏やかに笑う。
「戦術科いや、ヤマトあげて応援、祝福する。心配するな」
加藤は、心配なのはおまえの方だと言いかけて、頭を切り替えた。
「違うんだ。順序とか、手続きとか、こうでなきゃってのが本当はあるだろう?気持ちは嬉しいが
俺も、真琴も地球に帰ってからでも……」
「遠慮するな。めでたい事なんだから皆に祝わせろよ。俺たち、ヤマトの乗組員皆家族みたいなもんなんだから」
唇を一文字に結んでいた加藤も、古代の心情を思いやると、それ以上断る言い訳がみつからなかった。
ペットボトルについた水滴が床に滴り落ちた。
「いいのか?」と一言だけ。
「もちろん!あとは全部こっちに任せろ。船務科、主計科あたりに手伝ってもらうから。あ、航空隊にももちろんな」
スポーツ飲料を全部飲み干して、じゃあなと古代は去っていった。
その背中を見て、船務長の見舞いにいくのかもしれないな、と加藤は思った。
****
(きっといいパーティーになるだろう)
知らず知らずのうちに微笑んでいる自分に、古代は安堵していた。
――彼女なら、きっと率先して二人を祝うだろう。
女性ならではの細やかな気配りなんて、自分には出来そうもないけれど、
彼女ならきっとこうしただろうと想像すると、自然と体が動いた。
他人の幸せに触れることで、気持ちに張りが出来た。
大丈夫だ。いつもの自分を保っていられる。
ポケットの上から、ハーモニカの感触を確かめるだけにして、彼は自動航法室に背を向けた。
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プロフィール

管理人 ひがしのひとみ
ヤマト2199に30数年ぶりにド嵌りしました。ほとんど古代くんと雪のSSです
こちらは宇宙戦艦ヤマト2199のファンサイトです。関係各社さまとは一切関係ございません。扱っているものはすべて個人の妄想による二次作品です。この意味がご理解いただける方のみ、お楽しみください。
また当サイトにある作品は、頂いたものも含めてすべて持ち出し禁止です。
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