ヤマト 艦内でのゆる~~い日常編 その一



<Osamu Hiraiwa>

ネームプレートを裏返すと、彼は職場であるヘアサロン・ヤマトのドアを閉めた。
もともと防衛軍司令部近くで開業していたのだが、場所柄、
ほとんどの顧客が軍の人間だったこともあり、民間人ながら、
志願してヤマトに乗り込んできたのである。
千名近い乗組員のヘアスタイルを一手に引き受け(少々大げさではあるが)、
日々彼らのヘアスタイルについての研究に余念がない。

縁遠いと思われがちな佐渡や徳川も、実は、二月に一度は世話になっている。
オサム氏によると、ヤマト内で一番の上客は、加藤三郎だ。
彼は月に一度以上の頻度でやってくる。

たとえばこんな風に。

「ヒライワさん、今日も、きれい、さっぱりとやってください!」
「加藤隊長、お疲れ様です。今日もいつもと同じでいいですね?」
「はい、いつも通りで」
彼等の間で、交わされる会話はたったそれだけ。
加藤はその後、ずっと黙ったまま、鏡の中の自分と、ヒライワの手元を凝視するのみなのだ。
ヒライワは、手際よく加藤の頭髪をバリカンで刈っていく。
ほんの二十分足らずで、寸分違わない長さに刈りそろえられた頭髪に手をやって、
加藤は満足げに頷くのだった。
「ありがとうございました」
ケープを掃い終えたヒライワに向かって、加藤は深く一礼し、サロンを出ていくのだった。


上客といえば、新見薫女史もそうだが(月に一度の来店)伸ばしっぱなしだと思われる
航空隊の篠原副隊長も、実は、よく通っている客の一人だ。
彼の場合、カットする為だけではなく、時々トリートメントをお願いしに来ていて
ある時など山本玲と鉢合わせして、彼女よりも通う回数が多いと判明し、白い目で見られていた。

予約を入れてまで来店する乗組員だけが、ヒライワにとっての上客だとは限らない。
否、滅多に来店しない客だが、彼がとても気にしている客がいる。

――古代戦術長、その人である。


なぜなら。

戦術長は滅多に、このドアを開けないから。
サロンスタッフに言わせると、ヒライワの古代戦術長に対する関心度はかなりのものだ。

あれは、そう。
メ二号作戦を終えた航空隊の面々と共に、初めて古代がこのドアを開けたあの時からだった。

***

「加藤隊長は、いつもの、ですね?」
「はい。頼みます」

「篠原副隊長は、今日はカットもされますか?」
「じゃあ、毛先揃える程度で」

「沢村くん、カチューシャとろうね」
「小橋くん、ちょっと短くなっちゃったなあ」

などと、サロンは混雑していた。
そこに、ふらっと古代がやって来たのだった。
「あ、古代さん!お疲れ様です」
加藤のケープを掃いながら、ヒライワはスタッフの誰よりも早く、古代に声をかけたのだ。
「あ、混んでいるようなので、僕は明日でいいです」
「全然混んでないですよ! 古代さん、ココ! ここにお座りください!」
ヒライワは沢村が座ろうとした席に、さっさと古代を誘導してしまった。
古代は、わけがわからないまま椅子に座らされると、あとはまな板の鯉だ。

「古代戦術長、毛先1センチのカットでいいですよね?」
「はぁ。適当にお願いします」
「適当に、なんて言ってはいけませんよ、古代さん。他のスタッフに当たった場合、どうなるかわからないでしょう?」
「はぁ」
古代には今一つ事態が呑み込めないでいる。
「ね、これからは僕、オーナーのヒライワが古代さんの担当になりますので、必ず僕を指名してくださいね」
「それは、その、ありがたいんですけど、僕はそんなにしょっちゅう来ないと思うし、ヘアスタイルにそんなに拘ってないし……」

古代のその言葉に、サロンにいる全員が振り返った。
(ええーーーーっ、そのヘアスタイルに全然拘りがないっつーのか!) 加藤の心の声
(うっそーーーーー、お抱え美容師が居るんじゃないのか?) 篠原の心の声
(あの前髪、切りたくならないのかな) 小橋の心の声
(俺のカチューシャ、貸してやりたい……) 沢村の心の声





ヒライワにとって、古代の前髪、跳ねさせた耳の後ろ、耳が時々チラ見えする襟足の長さ、彼のヘアスタイルのどれもが
ハサミを軽やかに動かす要因なのだ。

これは滅多にないことなのだが。

一度だけ、戦術長と森船務長が、サロンで、となりの席になったことがある。
雪は、毛先だけを揃えるだけなので、30分程度で終わったのだが、隣の古代が
たっぷり一時間ほどかけて、丁寧にカットしてもらっているのを見て、呆れたように溜息を吐いていた。
ヒライワからすれば、雪も上客のうちの一人なのだが、古代がサロンに来ると、そんな彼女の存在さえ忘れてしまうほどだった。

艦内全員のヘアカルテの情報が、インプットされているタブレットを、ヒライワは仕事終わりに毎日確認する。
その一番最後に、彼は古代のカルテをチェックするのだ。

(前に来店してから、三か月も来てないなあ。今度来店したら、襟足はもうちょっとだけ短くして)

ヒライワは電源をオフにしながら、考える。


(地球に帰還したら、もっと色を明るくして、前髪はこう、流して……ってアドバイスしよう)

古代が軍人であるということも忘れて、妄想にふけるのだった。









******
結城本による妄想w

結城さんによると、「古代のヘアスタイルを保つためにいる」らしい設定の美容師さんw
設定画を見ていたら、浮かんだ妄想っすv 
ちょっと「バイ」のケがあるらしい;;;ので、古代君を気に入ってる(オネェ系??)という勝手な設定っすv

と、良く考えてみると、古代君の額を出した顔を見たのは、雪と(たぶん見てるよね^^)この美容師さんなのかなーと
思うと、その役目を自分が奪いたいwと思ってしまいました;;
美容院と理容室では髪を洗う台が違いますが、ヘアサロン・ヤマトでは仰向けでシャンプーします~。
ここはシャンプーマシン(体験したことがありますが、やっぱ人の手がいいですよね)ではなく、ヒライワさんがフンフンフフ~ン♪と
心の中で鼻歌を歌いながら、洗う設定です。
見てみたいですーーーーーーっ!! デコだし古代君v

ゆる~~~い日常編 その一でしたv(その二に続くw)
ふとましいお姉さん(というかオバチャン)が出てくる古雪SSはウラショコにv

2015 0423 hitomi higasino


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